現実は変わらないとわかっていても過去に戻ってみたい?
コーヒーをカップに注いでから冷めるまでの間だけ過去に戻れます。
しかし、現実は変わりません。
と言われたらあなたは過去に戻りますか?
喫茶店「フニクリフニクラ」のとある座席には過去に戻れる席が存在すると噂されていました。
しかし、過去に戻るにはルールがあります(゜゜)
1.過去に戻っても、この喫茶店を訪れたことのない者には会うことができない
2.過去に戻ってどんな努力をしても、現実は変わらない
3.過去に戻れる席には先客がいる 席に座れるのは、その先客が席を立った時だけ
4.過去に戻っても、席を立って移動する事はできない
5.過去に戻れるのは、コーヒーをカップの注いでから、
そのコーヒーが冷めてしまうまでの間だけ
なかなか面白い設定ですよね(^^)
コーヒーが冷めないうちに 川口俊和 簡単なあらすじ
電車でたまたま広告を見かけて面白そうだなと思って読んでみた小説なのですが、映画化されることになりました(^^)
喫茶店に訪れるお客さんが過去に戻って大切な人へ会いに行くのですが、過去に戻っても現実が変わらないとわかっていて過去に会いに行く心情を描いているところがこの本の面白いところだと思います(*^^)
例えば、事故で亡くなった人が生きている時に戻って事故に合わないように助言しても、その人がなくなる事実は変えられないとわかっていて、過去に戻ってその人に会いにいくでしょうか?
実は先にあげた5つのルール以外にも多少ルールがあります。
・コーヒーが冷めきる前に飲みきって過去から現在に戻ってこないと幽霊となってしまい現在に帰ってこれなくなる。
・保温器などを使用してもコーヒーが冷める時間は変わらない。
・過去に戻れる席にいる先客は幽霊。常にその席に座って本を読んでいるが必ず1日1回トイレに行く。その時にしか過去に戻れる席に座れない。
・時間を移動できるのは1度だけ。
・過去だけでなく、未来にも行くことができる。
ただし、未来は「フニクリフニクラ」に何時、誰がいるのか知りえないので目当ての人に出会える可能性はかなり低い。
・写真を撮ってくることや、物の受け渡しは可能。
などなど、いろんなルールがあります。
これだけいろんなルールがありながらそれでも会いに行く。
現実は変わらない。でも過去に会いに行けば変わるものもある?
ただもう1度会って話したい。
登場人物のそういった感情に触れるうちに自分ならどうするかを考えてしまいます(^^)
このあたりが映画でどう表現されるか見ものですね(*^^)
以下が小説の大まかなあらすじです。
最後の大事なところは書いておりませんので気になる方は実際に手に取って読むことをおすすめ致します(^^)
第一話 「恋人」
キャリアウーマンの清川二美子。
結婚を考えていた彼氏が海外に転勤するため、喫茶店「フニクリフニクラ」で別れ話をきりだされてしまい、結局その場では強がってしまいろくに話もせず、自分の気持ちを素直に伝えることができず彼氏を引きとめられなかった。
そのことを後悔し、後日再び「フニクリフニクラ」を訪れ過去に戻ることに。。。
過去(別れた日)に戻った女性は、あの日は聴けなかった彼氏の本音を初めて聴くことになる。
果たして彼氏の本音とは?
過去に戻って彼氏の話を聴くことで二美子は納得できるのか?
第二話 「夫婦」
喫茶店「フニクリフニクラ」の常連客である夫婦。
看護師の高竹と庭師の房木。
房木は若年性アルツハイマー型認知症を患っており、房木の混乱を避けるために高竹は周りの人に旧制で呼ぶように頼んでいた。
ある日、房木は過去に戻り妻に渡しそびれた手紙を渡すために「フニクリフニクラ」を訪れる。
しかし、病状が進み、妻がいたことは覚えていても高竹が自分の妻ということを忘れてしまっていた。
ついに房木が高竹のことを完全に忘れてしまい房木は過去に戻ることはできなかった。
事実を知った高竹は、房木が自分に渡そうとしていた手紙を受け取るために過去(房木が自分のことを覚えている時点)に戻ることに。。。
過去に戻った高竹は無事に手紙を受けとることに成功する。
房木が手紙で伝えたかった事は?
二人の行く末はいかに。。。?
第三話 「姉妹」
喫茶店「フニクリフニクラ」のすぐ近くでスナックを営業する平井八絵子。
八絵子の妹、久美は実家の旅館を継いで若女将として働いている。
家出した姉の八絵子に実家に戻るように説得するために月に1度「フニクリフニクラ」を訪れていた。
八絵子は自分が家出をしてせいで久美が実家の旅館を継ぐことになり、久美に夢があったならそれを我慢して旅館の若女将をやっているのではないか、八絵子を恨んでいるのではないか、と後ろめたさを感じて久美を避けるようになっていた。
いつものように久美が八絵子を説得しに「フニクリフニクラ」を訪れてきたが、八絵子は隠れてやりすごしていた。
久美は八絵子宛てに手紙を「フニクリフニクラ」の従業員に託して帰ったが、その帰路で交通事故に遭い亡くなってしまう。
久美が亡くなったことを知り、八絵子は久美に謝るために過去に戻ることにする。
会うことを避けてきた久美の本当の気持ち知る八絵子。
久美の本当の気持ちを知った八絵子がとる行動は?
第四話 「親子」
最後は過去に戻れる喫茶店「フニクリフニクラ」の従業員のお話。
時田流 「フニクリフニクラ」のマスター 身長約2mの大男
時田計 流の妻 生まれつき心臓が弱いが好奇心旺盛で人懐こい性格
時田数 流の従兄妹 過去に戻るためのコーヒーを注ぐ
色白で切れ長の目をした綺麗な顔立ち 物静かな性格
計は妊娠してから体調を崩していた。
生まれつき心臓が弱いこともあり、医者に相談したところ、計の心臓は出産には耐えられない。とのことだった。
中絶ということも考えられたが、計の絶対生むという意志は固かったため入院する決断をする。
しかし、計は自分の子の顔が見れない可能性が高い。。。
計は入院してしまうともう「フニクリフニクラ」へ戻ってくることはできないかもしれない。
そこで計は数と、計の誕生日である8月27日の15時に計の子が「フニクリフニクラ」に絶対にいるようにすることを約束し、計は未来へ行く。
未来の事象は誰にもわからないことだが、果たして10年後の「フニクリフニクラ」で計は自分の子と出会えるのか?
全体を通して
「コーヒーが冷めないうちに」は1話完結の話が4話収録されていますが、実は1話目でほとんどの主要な登場人物がでてきています。物語を通じて様々な場面で登場し、伏線も多いので前の話のあの場面がここで繋がるのか、と楽しみながら読み進めることができます(^^)
個人的には
コーヒーをズズズとすする
グシャグシャと髪をかきむしった
ジャラジャラと小銭を探る
ヘナヘナと椅子に座りこむ
など、人の行動を表す際の擬音が多いので、少し擬音を減らすか別の表現の方が読みやすいかなという印象を受けましたが、「コーヒーが冷めるまでの間過去に戻れる喫茶店」という面白い発想から様々なルールの中で展開する話の内容は楽しめました(*^^)
『コーヒーが冷めないうちに』映画化 主題歌はYUKIの「トロイメライ」
2018年9月21日(金)公開の映画『コーヒーが冷めないうちに』の主題歌はYUKIの「トロイメライ」
「コーヒーが冷めないうちに」のためにYUKI自身が原作を読み、映画を見て書き上げた1曲。
トロイメライはドイツ語で「夢」をあらわす言葉のようです(*^^)
「コーヒーが冷めないうちに」 続編 「この嘘がばれないうちに」
「コーヒーが冷めないうちに」第4話「親子」から6年後の「フニクリフニクラ」が描かれた「この嘘がばれないうちに」
こちらも全4話構成となっています(*^^)
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